児童福祉法と今後の課題

日本の児童福祉の基本である「児童福祉法」は、戦後、困窮する子供の保護、救済と共に、次代を担う子供の健全な育成を図るため、その後の我が国の社会福祉法制の先駆けとして、1947年に制定されました。

児童福祉法は、「すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない」(第一条第一項)、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」(第一条第二項)ことが規定され、その時々の社会のニーズに合わせて改正を繰り返しながらも現在まで児童福祉の基盤として位置づけられています。

児童福祉法に基づき、様々な問題から家庭で暮らすことができない児童等への施設サービス(児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設等)や、保育所における保育サービス、障害児に対する在宅・施設サービス等が実施されている他、少子化の一層の進行や、児童虐待と言った新たな課題に対応すべく、「次世代育成支援対策推進法」や「児童虐待防止法」による施策の充実が図られています。

1951年に制定された「児童憲章」や、1994年の国連「児童の権利に関する条約」の批准といった「児童の権利保障」という理念の定着化と相まって、児童福祉の諸制度は広く子供の最善の利益を保障する観点から充実が図られてきました。

一方、近年 、子供と子育て家庭をめぐる社会環境は大きく変化し、子供や家庭をめぐる課題は複雑化、深刻化しています。すべての子供に良質な成育環境を保障し、子供を大切にする社会の実現が求められているなか、虐待を受けた子供など、保護者による適切な養育を受けられない子供が増加してい
ます。

こうした状況の中、子供を中心に据えつつ、子育て家庭を社会全体で支えていく「子供家庭福祉」の観点から、地域のあらゆる関係機関の連携、協働を強化し、施策を充実させていく必要があるのです。

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